1963年、今井正監督による武士道告発映画。
第13回ベルリン国際映画祭 金熊賞を受賞。
今、”サムライ“とか“武士:ブシ“なんてワードがよく見かけられる。
勇ましく、質実剛健なイメージで使われてると思う。
僕なんか「武士道」なんて聞くと「武士道とは死ぬことと見つけたり『葉隠』」なんてのを思い浮かべる。
この映画で描かれているのもまさにそれで、「君主のために忠義を尽くすこと」、「君主のためにいかに死ぬか」。
映画の中でそんな台詞を年端も行かない子供が読み上げてるのが見ていて辛かった。
この映画を知ったのが学生の頃で、映画館に置いてあった無料の冊子の中の「日本の映画年表」にタイトルが書かれてあった。
凄いタイトルの映画があるもんだなと、記憶に残っていた。
初めて観たのはレンタルビデオで見つけて借りた時。
日本人の美徳とされた忠義、恩や家系の存続を武士道精神に根源を求め、ここまでストレートに批判した内容に驚いてしまった。
いろんな時代の話があり、明治時代が舞台の話では元藩主の爺さんが大事にされる内容。
自分が子供の頃の話だが、祖父が割と良い職にあった人物らしく、狭い家の2階で夏でも火鉢に火を入れお茶を沸かしていた。火をおこす煉炭の費用は大変なものだったと聞く。
家族はこの祖父を大事に世話していた。父方兄弟は「うちは士族の出だから」とよく漏らしていたと聞いた記憶がある。
ちょっと似たような状況で始まる話だったので、絵空ごとではなくリアリティを感じてしまった。
映画の最後は現代が舞台で、会社組織の中に存在する武士道的忠義による弊害を描いていた。
これには大変驚かされた記憶が。
後にAmazonでポチッたんだから、今思えばかなり感動したんだと思う。
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